(一)白河関門の戦 3

2016.03/24(THU)

慶応戊辰奥羽蝦夷戦乱史 奥羽の巻(第ニ巻)/奥州白河口戦史
近代デジタルライブラリー




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「石巻市」蔵
 平成二三年度
 県南地方観光推進事業「"桜"プロジェクト」
 財団法人白河観光物産協会
仙台藩からす組の旗 (2014.06/21)
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奥羽の巻(第ニ巻)/奥州白河口戦史
(一)白河関門の戦 3
( 2から続く)
【コマ 263】
 五月二十一日、奥州岩代信夫、伊達及び関東の無頼漢を以て成れる烏組、督将細谷十太夫と共に須賀川に在り。西軍再び襲来の報を得て、小田川に進発すれば、果たして、西軍の先手は、七曲の嶮に陣す。細谷烏、蹶起勇奮(けっきゆうふん)刀を抜いて、七曲に躍入すれば、西軍その姿を望み見て、右往左行の混乱と為 而して四散す。元来細谷烏は刀の武者也。素より一銃を手にする能はず、蓋し本来が無頼の奸物なるに依る。督将細谷十太夫、その戦闘に臨む都度、奸物連に令を降して云ひけるは、敵は銃隊、我軍は刀の組なり、然れば彼は
【コマ 264】
遠きに利を得て、我軍は近きに効あり、然らば敵を見る、隊士一ニ人の死傷を顧みる事なく、進んで刀を揮ふに如かずと。細谷烏の接戦、万事如斯猛獣的なり。更に姿そのものが、徹頭徹尾黒装とありては、西軍の気に喰はぬ所と云ふべし。
 奥羽軍の戦守の陣、遥かに是を望めば、主力を四道に注ぎ、以て関東、米村、原方、棚倉の口々を守るに在り。更に金山口には、富賀須参謀此所に在り、その釜ノ子口には、高根参謀、二本松の兵を督して是に在り。さる程に西軍の交戦陣は砲銃を乱発して四方より群がり迫り、奥羽軍の堅闘防戦いよ/\猛烈となって、西軍の接戦は酣と為りたり。此時に當りて、西郷総督将は今泉参謀を従ひて、会津、二本松の精鋭を督して、坂口、双石、入澤の各地に転戦し、大に西軍の前進を防きけるか、折しも白寺町方面に起る火煙を合図に、西軍は大呼して驀進し来る。奥羽軍、最初の力戦遂に辟易して、今土崩瓦解となりて敗績す。
 かくて五月二十五日も暮れたり。奥羽軍は総勢一万六千の兵を進めて、白河城攻撃の軍議成る。茲に於て、奥羽軍の先鋒隊は棚将平田弾右衛門是を督し、白河口及び金山口の二手に進む。やがて金山口先鋒隊は其追分地に間道するや、西軍は谷間に露営して夜も深し。棚軍大砲隊長吉田國之進、仙台、会津の諸軍を山頂に導き、府瞰の陣よく西軍を掃討して、いよ/\郷渡村に総軍は屯集し、吉田、臼砲を率ゐて白坂口の先鋒と為り、会将木村兵庫と共に進み、その白河口は平田弾右衛門是を攻む。かくて白坂口奥羽軍は旗宿裏を間道し、西軍の虚を衝いて驀進し、白河口に向ふ奥羽軍は合戦坂山頂に配陣するや、西軍は早くも麓に迫り、麦畑の間に撒兵して発銃尤も努む。茲に於て、両軍の戦闘は益々猛烈と為りて、勝敗の決する所無かりけるが、接戦烈しく肉迫するに至りて、奥羽軍の弾薬は缺亡して遂に苦戦と為りしかば、弾薬奉行の到るを待ちつヽ戦ふ程に、其人は今は所在も知り難きに一同愕然 奉行杉浦粂八郎は、部下運搬の人夫を率ゐて、何思ひけん、既に/\棚倉城下に帰城したるもの。茲に於て、防戦の策計はつきて、仙軍の持場は俄然として瓦解し、白河口の奥羽軍は殊守尚苦戦大敗、戦守を施す折も無く土崩瓦
【コマ 265】
解と為りて潰走したりけり。翻つて白坂口の戦況を見るに、会将木村兵庫は意気揚々白坂駅の東方に進み、西軍の守備兵を追つて遂に山に登り、銃口を並列して一斉に発せば、西軍是に呼応して接戦起る、忽ちにして西軍の陣地近くには火の手は昇り、奥羽軍の志気を援けて麓を一掃し、西軍をして西山指して遁走せしむ。棚軍大砲隊は吉田國之進と共に勇み立ち、榴弾を込めて連撃頗る猛烈なりしかば、猛弾爆発して西軍の殪るヽもの其数を知らず、かくて麓を逃げ延びたる西軍の一手は、早くも白坂関門際の土堤に撒兵し、砲銃を乱射して防戦最も努む。茲に於て、奥羽軍の大砲隊は山を駈け下り、関門の敵を目標にして、百弾を込めて堅守奮闘、烈戦相當りて破竹の勢あり、されば西軍も殊守及ばず、見る/\退きて高きに陣す。奥羽軍是を追撃せんとしけるが、此地は密林四方を埋め、湖沿徒に草野に隠れて進止意の如くならず、隊士は□みを呑んで追迫を止め、而して旧の位置に引き揚けて敵情の動静を虎視するのみ、さる程に、弾薬の缺亡は此所にも起りて、補給の途は事全く絶え、両道の先鋒中途に座折して、白河総撃の陣配茲に動揺す。
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( 4へ続く)
--引用・要約;「慶応戊辰奥羽蝦夷戦乱史」/近代デジタルライブラリー--
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慶応戊辰奥羽蝦夷戦乱史(目次)(2016.02/22)



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by mo20933 | 2016-03-24 11:33 | その他>その他 | Comments(0)