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第四章 奥羽列藩の白石会議

2013.01/15(TUE)

戊辰白河口戦争記 佐久間律堂著(昭和16年)




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第四章 奥羽列藩の白石会議

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写真;白石城天守(三階櫓)を大手一ノ門辺から・2014.09/28

慶応 4年(1868)
・閏 4月 4日
四月二十六日会藩主松平容保は使を仙台・米沢に遣はして降を請ふたので、二藩は書を総督府に上つて容保の使者を軍門に引見せんことを申出てゐる
閏四月四日には仙台・米沢二藩書を督府に上つて、会藩降伏の状あるによって追撃の中止を請ふてゐる
これより先閏四月朔日頃、醍醐・世良の両参謀は本宮にあり、仙台藩を督して会津に進撃せしめ、中山・石筵に戦があった。この頃鎮撫総督は東山道先鋒軍の宇都宮にあるものに移牒して速に白河口に来援することを求めてゐる
閏四月四日、愈々仙台・米沢の両藩は奥羽の列藩に廻文して其の重臣を白石に会合するやうにした。これ会藩救解の趣旨からである

其の文に
 陸奥守並弾正大弼儀、会津容保御追討之先鋒被仰付、陸奥守出陣被致候処、今般容保家来共陣門へ相越、降伏謝罪之歎願申出候に付衆評致度候間、御重役方之内、白石陣所へ早々御出張相成候様致度候。以上
  閏四月四日
(陸奥守は仙藩主であり、弾正大弼とは米藩主である)
この回章に由って重役の会同したものは盛岡・二本松・守山・棚倉・三春・山形・福島・上ノ山・亀田・一ノ関・矢島等で、棚倉からは平田弾右衛門が出席した
・閏 4月12日
閏四月十二日、仙・米両侯は会侯の歎願書に両藩の歎願書及び白石に会合した十四藩重臣の歎願書を添えて、岩沼に於ける九條総督に謁してこれを呈し親しく事情を述べ、会藩のために哀を請ひ、兵を止めんとことを請ふた。九條総督は快然たる態度で歎願書を落手せられ、速に奏聞に及ぶべしとの旨があった
此に於て本意達し仙藩主伊達慶邦・米藩上杉齊憲(なりのり)は各々その藩に帰る。所が九條総督から仙・米両藩に左の令達が出された
 今般会津謝罪降伏歎願書並奥羽各藩歎願書被差出熟覧之処、朝敵不可入天地罪人に付、難被及御沙汰早々討入可奏成功者也
 閏四月
     奥羽鎮撫総督
・閏 4月13日
この令達に接した奥羽列藩は大に憤慨し、我々の歎願する所は九條総督これを諒とせられその態度意向公正であった。然るに令達の此に及んだのは全く薩長の専横(せんおう)にありとなし、特に世良参謀を憎んだ。世良参謀は列藩の差出した歎願書を出張先の本宮にて見、筆を執て左の附札をなしたといふ。(九條総督は歎願書を飛脚によって世良参謀に送り意見を徴したものである)時は閏四月十三日
 会津容保儀、不可容天地罪人に付、速に討入可奏功候事
・閏 4月23日
ここに於て列藩は閏四月二十三日再び白石城に会した。この時は前の十四藩の外に秋田・弘前・新庄・八戸・平・福山・泉・本庄・湯長谷・下手渡・天童等が加はって二十五藩となった
相議して曰く、宜しく公義正道に依り、奸賊を清掃し忠を朝廷に尽さゞるべからずと衆議一決し、列藩の重臣盟約調印して太政官に建白書を上った。この会議に棚倉藩からは梅村角兵衛が出席している
奥羽同盟二十五藩とは
 仙台・米沢・盛岡・秋田・弘前・二本松・守山・新庄・八戸・棚倉・相馬・三春・平・福山・福島・本庄・泉・亀田・湯長谷・下手渡・矢島・一ノ関・上ノ山・天童・山形をいふ
翌五月には米藩の遊説によって越後の新発田・村上・村松・長岡・三根山・黒川の六藩も加はって奥羽越同盟が成立した。斯くて聯盟事務所を白石城に設け奥羽越公議所と称した
同盟の成立せる時、仙・米の両藩は、「同盟の挙は聖明を壅塞(ようそく)する君側の奸を攘(はら)い海内擾乱を鎮定するにありて、徳川政府を回復し貴藩を援助する趣旨に非ず誤認する勿れ」と会藩に告げた。その時会藩の梶原平馬等「寡君(かくん)固より王師に抗するの意なし、君側を清めんとするにあるのみ」と答へたといふ。これが戊辰奥羽戦争の起った骨子である
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--佐久間律堂「戊辰白河口戦争記」昭和16年(1941)・復刻--


第一章 幕軍鳥羽伏見に敗る
第二章 西軍江戸城に進撃
第三章 奥羽鎮定の方針
第四章 奥羽列藩の白石会議
第五章 世良参謀福島に殺さる
第六章 会兵白河城を奪取
第七章 戦争当時の白河城
第八章 白河口の戦争
第九章 五月朔日の大激戦
第十章 西軍白河に滞在
第十一章 輪王寺宮奥羽に下り給う
第十二章 東西相峙す二旬 1/2 
第十二章 東西相峙す二旬 2/2 
第十三章 西軍棚倉城に迫る
第十四章 白河地方に砲声の絶ゆるまで
第十五章 板垣参謀三春に向う
第十六章 若松城遂に陥る
第十七章 奥羽諸藩降る
第十八章 西軍帰還の途白河に宿泊
第十九章 1/3 東西両軍の墓碑及び供養塔
第十九章 2/3 東西両軍の墓碑及び供養塔
第十九章 3/3 東西両軍の墓碑及び供養塔
第二十章 戊辰戦争と地方民 1/2
第二十章 戊辰戦争と地方民 2/2



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